平成20年度より新たな研究事業が開始されましたのを機に、ごあいさつさせていただきます。
今回の事業は、過去10年間にわたる研究事業(文部科学省学術フロンティア推進事業採択に2期連続採択・平成10~19年度)の成果を引き継ぎ、 現代人の心の危機の見極めと、その実践的解決のためのネットワーク形成を行うことを目的としています。
学術フロンティア推進事業が終了したのを受けて、文部科学省の新たな研究助成制度「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」に応募し、 幸い採択されましたので、今後5年間にわたり、さらに研究を深化させ、成果を社会に還元していきたいと考えています。
プロジェクトは、4つの柱から成っています。
- 1.加害-被害関係の多角的研究
- 2.育てる関係の危機と子育ての意識の多相性についての研究
- 3.芸術学と芸術療法の共有基盤確立に向けた学際的研究
- 4.心理療法の現在に関する検証―臨床と研究の即応的関係の構築―
「加害-被害関係」「育てる関係」「芸術学と芸術療法」のいずれにしても、多くの学問領域にまたがる問題であり、学際的なアプローチがなければその全体像を検討することはできません。 しかし他方で、学際的研究は、ややもすれば各領域の成果を発表しあって相互に学ぶにとどまり、新たな視点や知見を共同で発見するに至らないことが多いのも現実です。
当研究所の特色は、臨床心理学、医学という臨床実践を担う学問と、人文諸科学の各分野にまたがる専門家を抱えているところ、そしてすでに長期にわたって共同研究を進めてきた経験を持つところにあります。 今回のプロジェクトでは、それぞれが成果を持ちあって発表し討論するにとどまらず、大学の外へ出かけ、アンケート調査・インタビュー調査を実施し、得られたデータに基づいて新たな発見を行うことを目指しています。 そのため、いずれの研究プロジェクトにも調査研究を一つの柱として組み込み、調査計画の段階から学際的な視野を持って、互いに意見を戦わせながら計画を立ててきました。今後の研究活動や調査結果の分析においても、複数の専門領域から多角的に検討し、総合的にとらえ、優れた成果を得ることを目指していきたいと考えています。
研究活動に関心を寄せていただくと共に、公開の催しにはぜひ多数の方に参加いただき、活発なご意見をいただけることを期待しています。
人 間 科 学 研 究 所
所長 : 港道 隆


